ゆい工房社長の本音コラム
囲炉裏の匂いと祖父の思い出

相撲中継を見ると、ふと、じいちゃんのことを思い出す時があります。
私のじいちゃんは口数が少なく、子供の目にはどこか怖い存在だったけれど、ふとした瞬間に見せる穏やかな表情は、今も仏間に飾られている遺影の顔とぴったり重なります。
私が幼いころ、両親は共働きで忙しかったので、日中はいつもじいちゃんとばあちゃんが一緒にいてくれました。母屋から続く離れのじいちゃんの部屋に遊びにいくと、テレビに映っているのは決まってNHKのニュースか大相撲中継。なんでこんな面白くもないものをいつも見ているのだろうと、子供ながらに不思議に思っていましたが、それが今では、場所のたびにチャンネルを合わせ、興奮して見ている自分がいるのだから笑。「荒れる春場所」と言われるだけあって、今場所もとても楽しませてもらいました。
そして、じいちゃんの部屋には囲炉裏があり、炭がじわじわと赤く燃える匂い、あの独特な香ばしさは、思い出そうと思えばいつでも鼻の奥によみがえってきます。
正月に客人が来ると、じいちゃんは決まってヤツメウナギを取り出し、串に刺して囲炉裏の火にかざしていました。脂がぱちぱちと弾け、煙とともに何ともいえない芳しい香りが部屋中に広がって、その傍らで大人たちが酒を酌み交わしながら談笑している光景が、今も鮮やかに脳裏に焼きついています。亡くなった父に言わせれば、ヤツメウナギはクセのある脂でそれほど美味しいものでもないと。
昔はよかったなぁと、つい感傷に浸ることもありますが、あのころの暮らしにはもう戻れませんし、じいちゃんに会うこともできません。ただ、時代は不思議な恩恵をくれるもので、長い年月を経てセピア色に褪せてしまったじいちゃんの遺影を、AIの力を借りれば瞬時にカラーで鮮やかに蘇らせることができる。
素晴らしいっ!!文明の利器!!
じいちゃんの誕生日は四月一日だったか、それとも二日だったか笑。いずれにしても、色鮮やかに生まれ変わった新しい遺影を送ろう、誕生日プレゼントに。

渡邉 陽一



